20世紀美術の源流
1)後期印象派
- 御三家:セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン(時に、スーラ、シニャックの新印象派、ボナール、ドニ、ヴュイヤール他のナビ派含む)
- 統一的な後期印象派様式はない
- 後期印象派 = "脱"印象派 or "反"印象派
- 印象派:移ろいやすい自然の光の印象を再現しようとした
vs. セザンヌ(仏)
・キュビズム
・「形態の新大陸のコロンブス」と呼ばれた
・「プッサンに従って自然をやり直す」
※プッサン:17世紀古典主義画家
※古典主義:バランス、調和、安定感重視
・課題:美術館のようにゆるぎない、永続的なものにする
⇒ ✖感覚的で移ろいやすい印象はを否定
⇒ 〇知的な構成・形態「キュビズム」
vs. ゴーギャン(仏)
・プリミティヴィズムの先駆者
・フランス領タヒチに移り住んだ
・課題:あまり自然に即して描いてはいけない。芸術は一個の抽象
⇒ ✖自然の単純な模倣、再現
vs. ゴッホ(蘭Holland)
・フォーヴィズム、表現主義、抽象芸術
・課題:自分自身を正確に表現するために、僕は色彩を自分の思うままに使う。
⇒ ✖目の前にあるものを正確に再現する
⇒ 〇色彩そのものが有する独自の表現力
2.象徴主義
- 象徴:
・辞書「直接的に知覚できない概念、意味、価値などを、それを連想させる具体的事物や感覚的形象によって間接的に表現すること。ハトで平和を、白で純潔を表現させる類」
・アレゴリー(寓意)、記号、比喩、アトリビュート(薬師如来が手にした薬壺のような目印、標識)とも近い - 象徴主義:
・世紀末ヨーロッパの芸術運動(主にフランスからヨーロッパ全域、アメリカ、ロシアにも)
・白昼の芸術(リアリズム) vs. 黄昏の芸術
※肉眼に見える狭い世界(自然主義あるいはリアリズム) vs. 裏に潜むものを直感と想像力を駆使して感じ取り暗示&喚起する夢の世界
※✖物質主義、〇文学的要素
・モロー/ルドン/シャヴァンヌ(仏)、クノップフ/アンソール/ド・ニュンク(白Belgium)、クリンガー/シュトゥック(独)、ラファエル前派(英)、ホドラー/ベックリン(瑞Switzerland)、クリムト/シーレ(墺Austria)、ムンク(諾Norway)、セガンティー二(伊)※ゴッホ、ゴーギャン、ナビ派のドニ、アールヌーヴォーのガラス作家ガレにも伺える - 象徴主義元年:1886年「ル・フィガロ」紙、「象徴主義宣言」
- ゴーギャン「自然は本当に裸なのか、変装しているのではないか。」
- 世紀末ヨーロッパを席巻。パリ万博1900年頃ピーク。
- 装飾美術、工芸等において典型的にみられる様式
- 自然をデザインし、様式化する(「様式芸術」とも呼ばれる)
・「面従腹背」:自然に表向きには従うが、裏では手を加えて整形し、第二の自然い仕上げている - 基本的な特徴:
・自然(つる草、ユリ、バラ、白鳥、孔雀等)
・形態をとらえ、単純化・抽象化
・優美な曲線でかたどる - アール・ヌーヴォー画家ポールベルトン(仏)
「自然以外のなにものもモデルとしないオリジナルな芸術の創造」「自然の本質的な部分のみの模写」「場合によって型破りな色彩を使う」
⇒フォービズム、ドイツ表現主義の予告
4.素朴派
- 素朴・ナイーブ:
・飾り気や気取りない、お人よし - 素朴派:
・「ヘタウマ」、へたさ加減や稚拙さが魅力になっているような絵 - 市民がはじめて余暇に恵まれ、趣味で描く画家が急増したこととも関係
- 代表的な画家:アンリ・ルソー(ピカソが発掘した)
- カンディンスキーはルソーについて「徹底的に単純に描くこと自体、その内面にあるものを響かせること」
Source:『すぐわかる20世紀の美術』千足伸行著、東京美術、2008